【時代の音を聴き分ける方法】

今日は専門的に見えるけどね。

ヘッドラインが専門的だからって

実は難しい話とは限らないんだ。

Facebookで以前に紹介したCDがあってね。

これもう、私毎日聴いてる。

バッハ。平均律を毎日ピアノで弾くのとは違って

こっちはヴァイオリンなのね。

うちさ。オヤジが生きてた頃から

なぜかバッハが好きでね。

清水のデミタスがあって、そこにコーヒーを淹れて

日曜日にバッハを聴きながら飲むっていう。

我が家には唯一。唯一だよ。

そういう習慣があったのよ。

それだけはもう、親に感謝だね。自分の幼少期の記憶だからさ。

例えば清水のデミタスってさ。

伊万里焼きってあるじゃない。

あれとほとんど色が変わらないの。

なんだか中国の雰囲気があって。

要はクリーム系白の下地に赤と緑。

京都の家だったから、清水に窯があって

昔は職人さんに焼いてもらってたらしいね。

だからバッハって言うと何とはなしに

清水とコーヒーってのが記憶に出てくる。

そう言や器(うつわ)ってのは、

その色とカタチが音楽に通じるね。

まあ、清水はダメなんだけどね。

カタチが決まってるから。

でも樂さんの器とか、哲学だから。もうあれは。

自然の神(森)羅万象を器のなかに取り込んだみたいな。

彫刻より更に深くなっていく。

これと同じ世界がPericle Fazzini(ペリクレ・ファッツィーニ)にはあったんだよね。

だから日本人は、特に京都の資産家は

家にファッツィーニを買い込んでたね。

樂焼ってのは哲学や思想。

天地人みたいな世界がある。

でも彫刻にもそれが加わるのは

ファッツィーニの弟子たちに聞いたら

やっぱり「禅」の教えを

西洋人が貪欲に彫刻の中に取り入れたからなんだよね。

彼ら、会う人みんな「禅」を体現しようとしていた。

びっくりしたね。だからローマに行って正解だった。

わたし、ローマで禅に出会ったわけ。

ヘリゲルにもローマで出会った。

もちろん本だよ。ドイツ語で読んだら死にそうになるけど

イタリア語だと分かりやすいからね。

でも彼の書いた本は、数学者のあの人、えっと。。。

登山の小説書く人の息子。。。藤原正彦!

そう。あの人が訳してた。

びっくりしたね。わたし幼いころ、新田次郎大好きだったからさ。

というわけで、バッハ。

バッハの無伴奏はチェロ組曲が好き。

特にカザルスが好き。カザルスのは聴ける。

ヴァイオリンの無伴奏は

昔ウィーンで勉強させられたけど

再度お勉強と思ってローマ時代にシェリングを聴いてみた。

BGMにはしんどい。

それからハイフェッツ、シゲティ、そしてミルシュタイン。

クレーメルは聴いたけど、やっぱりしんどかったな。

音がつらいの。

ジャズシンガーでもエラは意外に声が軽いし

Agilita(アジリタ)動きが良いわけ。コロラトゥーラみたい。

ガーシュウィンとか素敵だし、バラードも良い。

でも声が一番美しいのはカーメン・マクレイだね。

落ち着くんだ。あの声。

チェロも同じで、カザルス聴くと落ち着くんだよね。

食事の時でも流せる、とまではいかないけどね。

それと同じでね。

聴くのがしんどいのはつらいわけ。

ヴァイオリンって長い年月すごく辛い音が多かったみたい。

でも例えばクライスラーやアドルフ・ブッシュ、ミルシュタインあたりは

ちゃんと聴けるの。

でもミルシュタインになると

やっぱり「俺様」の音楽だね。

この俺様の音。トゲトゲしくはないし

もう最高の美音だから、ロマンティックな作品は

ミルシュタインがお勧めなんだけどね。

でもこの音を時代でいうなら「昭和の日本」って感じ。

平成の日本の音はもう少し違うと思うわけ。

明るくて軽い。

意外とバブル世代って暗かったんだと思うんだよ。

強いのが好きだったみたい。でも時代には合わないね。

因みにミルシュタインの話をすると

彼の音は間違いなく美しい音だし

何より息が長い。

だからパルティータとか一息で終わりまで行くの。

それがスゴイね。

音も極めて流麗で、嫌みな音なんて一つもない。

でもバッハを弾かせると、

どこか聴いていてしんどいのは何故だろう?

ここね。

これが大事なわけ。

それで新しめの録音を聴いてみたの。

そうすると、自分が感じていた違和感の正体がわかってくる。

この違和感が大事なの。

大抵の人は「名盤」と言われるものを

自分なりの解釈を付けないからね。

巷で言われているものが正しいとするわけ。

そこが問題なの。

ミルシュタインは絶賛よ。確かに。

でもどこか違うのは

今は違う時代。違う価値観が空気の中に流れているの。

だから違和感がある。

空気のなかにある感覚と、当時の演奏家の持つ価値観が違ったりするわけ。

そういうのを分かるようになると、きっとみんなが楽しいと思う。

ホント、ちょっとしたことなんだよね。

でも違和感が感じられればベストね。

そこから話が始まるの。

今日も素敵な一日を。

村中大祐

 

 

 

 

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