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【指揮者村中大祐メルマガMuranplanet】2018
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世界で活躍するオーケストラ指揮者が語る「ボーダーレス時代のリーダーシップ」(その3)

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第三章:「これからの日本にInside Out型リーダーシップが必要とされる、その5つの理由とは?~」                                   

  • チャールズ英皇太子の前での演奏
  • 英国のオーケストラが出す軽やかな音
  • ウィーンの「良い意味でのいい加減さ」
  • 深く、神秘的で、ミステリアスな響き
  • ローマは「目で見る」「多様性のある」街
  • 「俺は俺だ」と語るイタリア人
  • カラヤンの「過激な改革」と「実行力」
  • 師が倒れ、本番2時間前に登壇が決定 
  • 自分の個性を刻印して、人の心を動かす   
  • 上下ではなくフラットな関係を作る                       
  • 指揮者は立っているだけでいい
  • 日本のオーケストラの演奏は世界最高レベル
  • 「相手を信頼して任せる」極意         

 

ウィーンやローマなど長く海外で活躍し、

今は主に東京とロンドンを拠点に演奏活動を行う指揮者・村中大祐。

創立10年を迎えた「オーケストラ・アフィア」(Orchestra AfiA)を率いて国際的に高く評価され、

最近では世界45ヵ国の2000以上の音楽団体から成る「Classical:NEXT」で、

2016年の「イノヴェーション・アワード」ファイナル最終10団体に選ばれた。

チャールズ英皇太子が臨席するコンサートで2年連続指揮をすることも決まっている。

5ヵ国語に堪能な村中に、前回に続いて、

国の違いを超えて世界の人々と共に新しいものを創り出すための秘訣を語ってもらった。

チャールズ英皇太子の前での演奏

 

──さて、村中さんは先日ヨーロッパから帰られましたが、

2016年)322日に行われたイギリス室内管弦楽団とのロンドン公演はいかがでしたか?

 

村中 おかげさまで会場のカドガン・ホールは、

英国人のオーディエンスで満員御礼となり、

大変な成功を収めた演奏会になりました。

ありがとうございます。

──ロシアの作品とウィーン古典派に的を絞った演奏会だったようですね。

 

村中 そうです。

プロコフィエフの古典交響曲、

そしてショスタコーヴィチのピアノとトランペットのための協奏曲、

そしてハイドンのトランペット協奏曲に

ベートーヴェン交響曲第4番という、

結構盛りだくさんのプログラムでした。

ロンドンの聴衆は耳が肥えていることで有名ですが、

満場の聴衆から大喝采を頂いて、

これまででもかなり満足できる公演の一つとなりました。

Photo: AFIA OFFICE

 

──英国での次の演奏会は、(2016年)5月に行われる

チャールズ英皇太子の主催公演になると聞きました。

村中さんは昨年もこの演奏会で指揮されて大好評だったそうですが、

今年の会場はどこになるのでしょうか。

 

村中 マルメスベリーという、

ロンドンから西に車で2時間ほど行ったところにある町です。

ここの教会の修復のため、

チャリティ演奏会を指揮するんです。

──チャールズ皇太子が臨席される「御前演奏」の2回目になるのですね。

昨年の演奏はどんなふうになったのでしょうか。

 

村中 それまで英国で演奏した中でも、

特に充実した内容になりました。

曲目はベートーヴェンの「エグモント」序曲、

ショパンのピアノ協奏曲第2番、

そしてシューベルトの交響曲第4番「悲劇的」でした。

──チャールズ皇太子の前で演奏するということで、

やはり特別な思いはありましたか。

 

村中 たいへん光栄なことと思いました。

チャールズ皇太子殿下は、

私の背中のすぐ真後ろの席にお座りになっていたので、

舞台からご挨拶をする際はどうしても目が合うのですね。

そんな至近距離で指揮をしていたのですが、

シューベルトのとき、

殿下は軽快なリズムに合わせて

一緒に身体を動かしておられたそうです。

また、ショパンのコンチェルトでは

ちょっとしたハプニングがありました。

教会の祭壇の前に確保した場所に

たくさんのオーケストラメンバーが入ったのですが、

スペースはかなり狭い。

そこにグランドピアノが持ち込まれたので、

私はそれに寄りかかるようにして指揮しなければならず、

ショパンをやっていたときに

ピアノを背中でちょっと押してしまったのですね。

そうするとピアノが微妙に動き出して、

ピアニストがびっくりしてしまいました。

そりゃ驚きますよ。

弾いているピアノが突然動き出したのだから(笑)。

演奏中に教会の床が滑ることを

考慮しなかったせいもありますが、

ピアニストだけでなく、

皇太子殿下もびっくりされていたそうです。

そんなこともありましたが、

弾いてくれたのは素晴らしいロシア人ピアニストで、

ソリストはチャールズ皇太子殿下お気に入りの

カティア・アペキシェヴァさん。

見事なショパンでした。

この様子はデイリー・メール紙がかなり詳しく

写真付で掲載しています。

 

英国のオーケストラが出す軽やかな音

 

──村中さんはウィーンやローマを経て、

近年はロンドンを海外の活動の拠点にしていますが、

英国のオーケストラを指揮して、どんな特徴に気づきましたか。

 

村中 イタリアのオーケストラでも感じたことですが、

英国のオーケストラは

音の柔らかい響きが特徴的です。

その点、ドイツやロシア系統のオーケストラの響きとは

かなりニュアンスが違います。

最初は「音量が少ないのではないか?」

と感じたこともありました。

でも、それは違いました。

──大きく見ると、「ドイツ系・ロシア系」と

「英国系・イタリア系」でオーケストラの響きが違うと?

 

村中 そうです。

これは、どちらが良いとか

どちらが優れているといった話ではなく、

音から受ける印象が異なるということです。

その印象によって、

演奏会で選ぶ音楽の嗜好やプログラミングが

変わってくることはありますね。

──その違いについて、何か具体的な例はありますか。

 

村中 私が最初に英国のオーケストラを指揮したのは、

毎年夏にロンドンの郊外で行われる世界有数の音楽祭

「グラインドボーン音楽祭」のオペラピットの中でした。

当時、そこで弾いていたオーケストラは

ロンドン・フィルハーモニックでした。

彼らを指揮したときに、

オーケストラの弦の響きが軽く、

また、その音が割と自由に寄り添っているような

感じを受けました。

 

「オペラをするのにこんなに粘りがなくてよいのか?」

と思いもしましたが、

「一点に向かって強い音で集中する」というより、

かなり力の抜けた感じで、

「オーケストラの各パートが互いに聴き合いながら寄り添う感覚」

が強いように思いました。

それまでイタリアの歌劇場で指揮していた私の感覚では、

「あれ? こんなに軽いと、

ハイドンやモーツァルトにはもってこいだろうな」

という響きがそこにはあったのです。

実際、そのときのグラインドボーンでの演目は

モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」でしたから、

それでよかったんですね。

しばらくして、

イギリス室内管弦楽団との演奏をロンドンで行うようになって、

英国のオーケストラの傾向をよーく確かめることができました。

簡単に言うと、

彼らは演奏するときに無駄な力みがなくて、

演奏を楽しんでいるように感じます。

そのせいか、無理なく最高の響きを

撚(よ)り合わせる感じが強くなりますね。

そこで指揮者が力んでみせても、

かえって疲れるだけです。

彼らは指揮者の要求より、

平然と自分たちの響きを重要視します。

その瞬間に響かせられる一番美しい上澄みの音を選んで、

それを撚り合わせて演奏しようとするのですね。

 

誤解がないようにお断りしておくと、

ドイツ系・ロシア系のオーケストラが

響きを重要視していないと

言っている訳ではないのです。

純粋に響きの「重み」が違うのです。

楽器が奏でる音の響きは、

言語からも影響を受けますし、

日頃の習慣の蓄積でもあります。

だから国によって響きは変わってきます。

英国のオーケストラに感じられるのは、軽やかさ。

羽毛のような軽やかさの中に、

まるで画家ターナーの作品のような

色彩がちりばめられるのが、

彼らの響きの特徴だと思います。

線の強さではなく、

全体の構図は明確に描けているのですが、

線の描き方自体に繊細な感じがあります。

優しさと言った方がいいかもしれない。

英国人を「帝国主義の時代に世界で一番の辣腕を振るった」

というイメージで見る人は、

彼らの「強さ」に意識をフォーカスするかもしれませんが、

どちらかというと、

街から受ける印象や英国人とのやり取りには、

音の響きから生まれる「優しさ」が

全面的ににじみ出てくるような気がするのです。

一人一人が強い主張をして集まった

オーケストラ(集団)のイメージではなく、

個人の持つ最高の「上澄みの響き」を寄せ合って、

理想を実現しようとする社会なのかもしれません。

そういうコミュニティとしての態度の表れが、

まさに「響きの文化」の中に見え隠れしていると思えます。

 

ウィーンの「良い意味でのいい加減さ」

 

──「響きの文化」を持つ社会ですか。

たいへん面白い見方ですが、

村中さんの経験では、

「響き」という点で他の国はどうでしたか?

 

村中 私がヨーロッパ文化の洗礼を受けたと言えるのは、

オーストリアの首都ウィーンでした。

ウィーンの人々が話す言葉の響きは、

あまり繊細さや優しさを感じさせるものではなく、

いわば、かなりの「べらんめえ」調でした。

最初の数年は言語の習得に苦労させられました。

本当にわからなかったのですね、

ウィーンの人々が何を言っているのか。

私が卒業した東京外語大のドイツ語教育でも、

ウィーン方言は出てきませんから(笑)。

この方言は、ドイツのバイエルン地方や

チロル地方の方言にも共通するのですが、

東北のズーズー弁の一種かと思うくらい、

語尾が曖昧な感じに聞こえるのです。

ところが、オペラ座で毎日のように掛かる中心的な演目、

たとえばモーツァルトの「魔笛」や

R・シュトラウスの「薔薇の騎士」などを上演するのに、

このウィーン方言を使うのと使わないのでは、

まったく雰囲気が変わってしまいます。

ハプスブルクの、

いわば京(みやこ)言葉で書かれた作品ですから、

同じドイツ語でも、

北ドイツのイントネーションでは本来持っている作品の

雰囲気や味が出ないのです。

ウィーン方言でなければならない。

ウィーンの人は自分たちの文化を評して

「ウィーンのいい加減さ」

(ヴィーナー・シュランパライ=Wiener Schlamperei)

と呼びますが、

この「いい加減さ」を

どこか誇りにも思っているところが面白いんですね。

 

そして彼らはまた、

方言の響きにも同じような意識を持っています。

決してはっきりと発音せず、

ドイツ語の響きをぼかすところに、

彼らは自ら「優雅さ」があると言うのですが、

それは良い意味での「いい加減さ」なのかもしれません。


Photo: AFIA OFFICE

 

──その、良い意味の「いい加減さ」が音楽にも反映されている、と?

 

村中 ウィーンで音楽を演奏するとき、

そのほとんどが初見演奏、

あるいは練習なしだったという記憶があります。

 

ワーグナー指揮者として有名な

ハンス・クナッパーツブッシュは練習嫌いで有名でしたが、

ウィーン・フィルの団員が練習に

姿を現さないクナ(愛称)に

「マエストロ、今から練習ですよ」と話しかけると、

「練習? 必要ないだろう。

私はこの曲を知っているし、

君たちも知っているじゃないか。

本番で会おう」

と言ったとか言わないとか(笑)。

ウィーンとは、そういったエピソードが

語り継がれる場所でもあります。

 

ウィーンの人たちが大切にしている言葉に

「musizieren」(ムジツィエレン)というものがあります。

直訳すると

「音楽をする」

という意味の単語です。

この言葉、ウィーンの音楽家たちと

話すときによく使われるのですが、

単に「音楽をする」という意味だけには留まりません。

「音楽を愉しむ」、あるいは「楽興のときを過ごす」

という意味合いを持たせて用いられることが多いのです。

そのベースにあるのは

「練習に練習を重ねた後に音楽をする」

という態度ではなく、

「その場で即興的に音楽の素晴らしさを共有する」

という姿勢です。

ですから、ウィーン・フィルや

ウィーン国立歌劇場のオーケストラが

乗りに乗って弾いているときは、

他のどんな優れたオーケストラより

素晴らしい音楽を聴かせてくれますが、

それは決して、

努力を積み重ねて作り出した

精緻な細工という感じの音楽ではありません。

気分が乗らないと、

全体の音程さえまばらで、

結構適当な感じがするときもあるのです。

でも、それが文化だと私は思うのです。

ウィーンの音楽家たちは、

そういった自由さ、

気楽さを音楽の本質として捉えているように見えます。

あたかも、日頃の気楽さを忘れてしまうと、

本気で演奏したときに

成果が出せないとでも言わんばかりに。

深く、神秘的で、ミステリアスな響き

──そういったウィーンの“空気”から、

村中さんは多大な影響を受けたのですね。

 

村中 はい。

おそらく私がウィーンで学んだ本質的なことの一つは、

「力を入れない音」とか「音を愉しむ心」なのだと思っています。

ウィーンには劇場がたくさんあって、

「一つの街でいったいどうやって

こんなに多くの舞台を運営できるのだろう?」と思うほどです。

それはオペラやコンサートだけでなく、

演劇でも、ブルク劇場や

テアター・イン・デア・ヨーゼフシュタット、

フォルクステアターなど

小さいものも入れれば数限りないのです。

自由と気楽さを尊重し、

重箱の隅をつつくような価値観とは

対極にあるウィーンの文化は、

そういった音楽や演劇の

「場」を豊富に持つ環境が土壌となって育まれたのだろう、

と私は想像しました。

細かいことはとやかく言わず、

大らかに物事を楽しむ文化が、

先ほどお話しした言葉の「べらんめえ調」と相俟って、

独特の文化的ニュアンスを醸し出しているのです。

そしてもう一つ、

ドイツ語という言語から見た、

音楽についての大切な学びがありました。

ドイツ語には「響き」を意味する

「クラング」(klang)という単語があります。

「クリンゲン」(klingen)という動詞が名詞化されたもので、

「透明な」(klar、英語のclear)という単語に語感が近いのですね。

この「クラング」には、「響き」という意味に加え、

アルファベットのKとLが重なることで、

「透明感」や「メタリック感」が

盛り込まれているような印象があるのです。

さらに、この「クリンゲン」という言葉の使い方に注目すると、

非常に面白いことがわかります。

ドイツ語で「音が響く」ことを「Es klingt」と言います。

これは、日本文化に造詣が深かったドイツ人

哲学者オイゲン・ヘリゲルが著書『弓と禅』で語った

「Es schießt=弓が放たれる」という、

極めて他動的な世界なのです。

自分が能動的に「音を放つ」のではなく「音が放たれる」、

つまり、私たち日本人がよく使う

「音が立ち上がる」という言い回しのイメージになります。

自分から「音を響かせる」という

自発的なニュアンスではないのですね。

「音が立ち上がる」というイメージは、

新約聖書の「ヨハネによる福音書」の一節、

「はじめに言葉があった」(Im Anfang war das Wort……)を

思い出させます。

ハイドンは、ウィーンで大成功を収めた自作のオラトリオ

「天地創造」の始まりをこの一節に託しています。

まるっきり何もない「無の状態」から

響きが立ち上がるような、

あるいは何もないところに

天から響きが降りてくるような

「クラング」の意味合いを、

この一節は感じさせてくれるのです。

このように「クラング」とは、

単なる「響き」の意味を越えて、

極めて神秘的で哲学的なミステリーを包含する言葉だと思うのです。

その深みを、

響きを生み出す方の立場にいる私は、

いつも実感しています。

──ウィーンの後、村中さんはイタリアに長く在住しましたが、

そこでもやはり重要で本質的な「気づき」や「学び」を得ましたか。

 

村中 なんだかとりとめのない話に終始しているように

思われるかもしれませんが(笑)、

このように、感性でつかみ取ったものに根差した

「自分で見つけた本当の話」は重要だと思うので続けますね。

イタリアに私が拠点を移した一番の理由は、

先ほども(第一章参照)お話ししましたが、

イタリアで行われた国際指揮者コンクールで優勝して、

イタリアを中心に仕事が始まったためです。

ただし、拠点をウィーンからイタリアに移す際には、

大きな大義名分がありました。

文化庁の在外派遣芸術家制度を利用して

2年間ローマに滞在し、

「ワーグナーとゲーテの視点からイタリアを見つめる」

というものでした。

もともとの予定では、

イタリアを経由せずにドイツで歌劇場を中心に

仕事を始めるつもりでしたが、

ヨーロッパで急にたくさんのことを

短期間のうちに吸収したため、

自分の中の「日本的なもの」が枯渇してしまっていました。

ヨーロッパと「自分らしく」向き合うことなど、

とてもできる余裕がなくなっていたのです。

そんな折、

運よく文化庁の在外派遣制度を使うことができたのです。

そこでイタリアの首都ローマに滞在し、

ローマ歌劇場を拠点にいろいろな視点から

イタリアを眺めようと考えました。

また、ローマには建築家・丹下健三氏が設計された

日本文化会館がありますから、

そこで日本的な文化にも触れ、

自分の中で枯渇したコアな部分を回復する、

というのも目的でした。

to be continued…

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