カラヤンから学ぶこと②

From:村中大祐

今月末はニュースレターNo.2が発刊されるが
その中心的な話題が指揮者のカラヤン。

連載「ボーダーレス時代のリーダーシップ②」
のテーマは「カラヤンの仕事術」。

やっと昨日入稿できた。
夕べのビールの旨いのなんのって。
それはもう、最高!

そのカラヤンが台頭してきた
1930年代ヨーロッパは激動の時代。

アメリカや南米にユダヤ系移民がこぞって
ヨーロッパから流入した理由は
ドイツで起こった国家社会主義といった
いわゆるファシズムの台頭だった。

これはドイツだけでなく世界各地の
ある種イデオロギーの台頭だった。
それが何だったのか。

単純にナチス・ドイツに責任を取らせるだけの
短絡的な話に終始してしまうと
歴史を未来に生かせなくなると思う。

世界全体がファシズムに向かう気分だった。
それは否定できない事実だ。

だから私たちは今を読み解くために
本物の知性を働かせる必要があると思う。

今朝偶然NHKのニュースで
ある沖縄の女性が
これまで躊躇をしていたものの
ここ数年戦争の経験を話すようになった
その経緯を話しておられた。

5歳の彼女が沖縄で家族を失い
数か月の乳飲み子の弟を抱えて
藪のなかにある自然の洞穴に逃げ込むと
そこにはすでに多くの知り合いたちが
命からがら逃げ込んできていて
洞穴は大人たちで既に一杯だったという。

でも乳飲み子が泣き出すと
知り合いの大人たちがこぞって
5歳の彼女にその幼子を連れて
「ここから出ていけ!」と言い

その時、誰も助けてくれず
守ってくれた人も居なかったそうだ。

そのときまだ5歳だった彼女が感じたのは
「戦争とは恐ろしい。人間のこころがなくなっている。」
ということだった。

音楽の世界では
あの有名なカラヤンだけでなく、
当時ドイツ音楽の最高の指揮者として
ベルリンフィルの常任指揮者だった
ウィルヘルム・フルトヴェングラーも
国家社会主義を標榜するナチス・ドイツに入党し
戦後は国内外で大きな批判を受けている。

当時のドイツ人で、非ユダヤ系の音楽家は
その殆どがナチスに協力したが
そこはそれぞれの判断があったはずだ。

ドイツ人でナチス・ドイツにくみしなかった
エーリヒ・クライバーは南米に移住したし

イタリア人のトスカニーニはイタリアを去って
アメリカに活動の拠点を移し、ファシズムを
徹底的に批判した。

でもフルトヴェングラーやカラヤンは
ナチスに入党し、音楽を続けた。

第2号のニュースレターにはカラヤンのことを
詳しく触れたが

フルトヴェングラーは自分の考えを
後に書き残していて
その言葉を読んだ私は
ある一種の不可解さを拭い去れなかった。

フルトヴェングラーはナチス・ドイツと
闘うことをやめなかった。

でもそれは、彼が「音楽」という
無言の武器を持っていたからだ。

「ドイツ人に音楽を通じて貢献する。」
その「貢献」の意味について
偉大なる指揮者はこう記している。

「ドイツが単なる国家社会主義でなかったことを
後の世に示すこと。そして今ここに居るドイツ人に
音楽を通じて偉大なる精神を伝えること。」

なるほど。
わからなくもない。

でも戦争が怖いのは
一人の沖縄の5歳の女の子に向かって
「出ていけ!」と言えてしまう
世の中が出来上がった恐怖だと思った。

戦争を知らない私は
「自分の命が危険にさらされた」とき
つまり、危機的状況になったら、
「誰も助けてくれない」
そんな世の中になることを知らない。

それがどんなに恐ろしいことかを
沖縄の語りべの女性に教わった気がした。

いろいろな理屈があって
武器を作ったり、それを売ったりすることで
国の状態を立て直そうとするのが
今のアメリカと日本やヨーロッパの列強の姿だ。

資本主義のかたちは、既に末期症状で
新しい社会の仕組みが必要だと思う。

その仕組みができることを
怖がる人たちの意識が世界に充満しているのを
感じるのは私だけではないはず。

だから今新しい方向へ向かおうとするエネルギーを
ひっくり返したいのが
アメリカやイギリスで顕著になっているように思う。

ここからはある意味「考え方」が問題になる。
「考え方」をコントロールしようとする動きも
非常に活発に行われている。

個人的には恐怖によってコントロールする方向ではなく
できる限り自由な魂が謳歌できる世の中を希望している。

北朝鮮を批判するひとたちが
今世界中に増えるなかで
ミイラ取りがミイラにならないように
祈るばかりが能ではない。

新しい流れが世界をつなげていけるように
自分の考え方の古さを反省し、
継承と創造を反芻しながら
前を向いて生きていきたいと思う。

今日も素敵な一日を!
ヨコハマの自宅から
村中大祐

 

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