オタクのつぶやき⑤「無料の凄み。NHKさんありがとう。」

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From:村中大祐

日本で私がひとりでやっていたことが
ヨーロッパの音楽教育と直結していた、
というお話は昨日聞いて頂いた。

つまりそれは、本質論同士の間に
ボーダーはない、ということなのだ。

こう理屈っぽく言うとシンプルだが、
実際にこれを実行しようと思っても
そう簡単にはいかない。

私は10代の前半から
ヨーロッパからやって来る
来日アーティストと
日本人アーティストの演奏に
微妙な違いを感じて
その「違和感」に疑問を持った。

同じ西洋音楽なのに
何が違うんだろう。
よくわからないけれど
何かが違う。

これはヨーロッパが本場だから、
といった短絡的なものでなく
空気感とでも言うものだった。
その違和感はその後も私に
容赦なく付きまとうことになった。

私は「音楽は趣味ならいいが
絶対に仕事にしてくれるな」という
家に生まれ育った。

「サラリーマンにはならないで。
でも音楽家には絶対ならないで。」
そう言われて大きくなった。

幼い3つの頃は声楽家の母親から
ピアノの手ほどきを受けたものの
その後はピアノなんて練習が面倒で
友達と遊ぶのが優先。

近所の先生に習いに行くのも
練習なしのぶっつけ本番。
いつも指が足りなくなって
手を裏返してピアノを弾いていた。

絶対音感があったらしく
犬の散歩の際に口笛を吹きならし
それで口笛は得意になった。
(今でも仕事の現場で使うほど上手い。)

祖母~母と声楽を学んだお蔭で
私はボーイソプラノとして
素晴らしく美しい声が出た。
(小学校では合唱部に入って
この声は讃美されたが、これは
おそらく自分の最初の成功体験だった。)

そんな私が中学に入ると
最初に隣同士となった有田くんのピアノが
あまりに素晴らしくて
それからというもの
興奮してピアノに向かうようになった。

面白いのはそれからだ。

私は家にある楽譜を片っ端から弾き始めた。
昔は大っ嫌いだった練習をするようになり
学校の音楽教師に勧められて
チェロをやるようになると

チェロの練習が面倒で
更にピアノに傾倒するようになった。
チェロは音を作らねばならない。
その「音作り」が
ピアノに影響したのだと思う。

だが問題は先生だった。
先生の言うことに本質が見えないと
言うことがスッと
魂に語り掛けて来なかった。

そんなある日、カラヤンがやってきた。
ラジオで生放送が開始された。
東京の普門館での第九のライブだ。

オヤジは大阪外語の英語だったが
発音が悪く、発音を矯正すべく
録音マイク付のカセットレコーダーを持っていた。

オヤジは既に小学生のとき他界したので
その形見のカセットレコーダーは
私の自由になった。

ラジオの前にこのレコーダー・マイクを置き
カラヤンの指揮する第九を
オヤジの英語のテープの上に
録音してやった。

快感だった。
オヤジの下手な英語をかき消した快感か
それとも
第九という「異様な」雰囲気の音楽を
小さなカセットのなかに
閉じ込めた快感か。

いずれにせよ、これが快感と感じられて
エアチェックにはまったのだ。

そこから私のオタク歴は始まった。
NHKさん。ありがとう。
貴方たちのお蔭で
私の音楽はヨーロッパに繋がりました。

ハッキリ言って
何かヨーロッパのライブの音源は
雰囲気が違うのだ。

ホールの音響は別に日本でも同じくらい
素晴らしいものが
80年代に揃っていた。
大阪ザ・シンフォニーホール。
東京サントリー・ホール。
でも何か聴こえ方が違うのだ。

ビールやコーヒーを例にとろう。
仕事でイタリアやスペインを旅すると
不思議な現象に遭遇する。

同じイタリアでも
Cafe(カフェ)の味は街によって違う。
Capuccio(カプッチーノの略)も全然違う。
南のシチリアから
北のフランスにほど近いジェノヴァへ
プッチーニの仕事で動いていたとき
北西のジェノヴァで飲むカプッチョは
微妙に味が濃い。香ばしいのだ。
ポルトガルが近いからか、
スペインのマドリードなどで飲む味に近い。

ビールもおなじ。
イタリアのビールとスペインのビールは
味が全然ちがう。ビッラとセルヴェッサの違いか。

ドイツ・オーストリアと
チェコのビールの味の違いも同じ。

視覚が変わることも多少あるのだが
おそらくは
空気と水の違いだろう。

空気と水の違いは
食事や飲み物の味だけでなく
これは音にも影響する。

私の音楽観がラジオのエアチェックを通じて
非常に深まって行ったというのも

この空気感の違いを
音を通じて直感的に感じたからだ。

そこには全ての本質が出そろっていた。
しかも「無料で」。

わたしはこのエアチェックで
音楽を勉強したと言っても
過言ではない。

そこには決められた指使いも
何もない。
あるのはただ、純然たる音楽だけ。

手続きも理屈もない。
当時わたしは
音楽とは「精神のながれ」だと
本気で思っていて
そのままウィーンに行ったわけだ。

NHKさん。ありがとう。
視聴料ちゃんと払って
元はとれました。(笑)
いや、ラジオは無料だな。

素敵な一日を!
横浜の自宅から
村中大祐

追伸:
好評につき、7月10日までキャンぺーンを延長します。
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ニュースレターNo.2が出来上がった。
テーマは「カラヤンの仕事術」。
カラヤンについて語られた証言の多くは
彼が指揮者だけでなく
経営者としても十分にその才能を発揮していたことだ。
多くの人間がカラヤンをリーダーとして
認知していたことは
衆目の一致するところだった。

その彼の仕事の仕方。
交渉の仕方は極めて刺激的で
実は私も、そこから多くを学んできた。

例えばカラヤンがポートレートを
写真家に撮らせる際、気を付けていたことがある。
それは自分の顔を撮る角度だ。

彼は決して気に入らない写真は許可しなかったし、
何より「自分の顔をどちらから撮影するか」
について、舞台の下手から撮影することを
指定してきたという。(顔の左側から撮影することになる)

このエピソードでも思うのは
カラヤンという人間は
自分の弱みや強みを把握しながら
その強みにフォーカスすることを
徹底した人だったということ。

彼から学べることには
アントレプレナーや個人事業者、
そして自分の城を守ろうとする社長たちが
知っていて間違いなく有益なものが多い。

そして何より
マーラー以降の指揮者の系譜から見えてくるのは
カラヤンを起点に
カラヤン以前とカラヤン以降で
リーダーの形に大きな変化があったということ。

それは取りも直さず
世界の今後を占う大きなカギともなりうるということ。

指揮者の動向に注目するのもいいが
むしろそこから今後の世界が読み取れる方が
よほど興味深いというもの。

そんなお話を続けていくつもりだ。
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30名様先着のみ限定で以下の2つの特典が用意されている。

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