シューマンの世界へ~新音楽時報~

誰よりも「自分の主観が強い」と言う意味で

シューマンという人は、極めて文学的センスに優れた人でした。

彼の父親はもともと作家志望で、今流に言うと、やりたい事をやるため「起業」します。

翻訳家としてシェイクスピア作品などを英語からドイツ語に翻訳したり、

更には出版社を起こし、本屋も経営するといった

そんな父親の生きざまが傍にあったのですね。

そう言うわけでシューマンは、早くから文学的環境の中に育ち、

様々なスタイルの文学的素養を身に付けます。

この父親が早く死んだために

母親が音楽の道を志すことを反対したことから法律の勉強を始め、

シューマンは当初音楽ではなく法律家としてやっていこうと思っていました。

でも彼の才能を認めたピアノ教師ヴィーク先生という師のお蔭で

音楽の道、しかもピアニストとしての道を歩むことになるのです。

このヴィークさんこそ、後にシューマンの妻となるクララの父親でした。

シューマンはこのヴィークさんの生徒にかなり手を出したようで、

その対象がクララに向かって行くと

ヴィーク先生はシューマンの存在を

全く違った眼で敵視することになるのです。

クララをシューマンから引き離すためなら手段を選ばないヴィーク先生。

道ですれ違った時など、突然殴り掛かるなどの

暴行を働くほどにまで敵対関係がエスカレートします。

クララとシューマンは父親の妨害にも負けることなく結ばれると、

父親ヴィークは余りの過剰な妨害行為を訴えられて、有罪判決が下るのでした。

この艱難辛苦の道のりの裏でシューマンは「新音楽時報」を創刊し、

音楽の新たな世界観を「言葉によって」世に問うことになります。

秘密結社「ダヴィッド同盟」とブラームスの登場

父親が本屋や出版社を経営し、

翻訳に長け小説も書いたためか、

シューマンは若い頃から文学に造詣が深く、

自ら文章を書いて音楽雑誌

Neue Zeitschrift für Musik「音楽新報」を出版する。

そして当時共に楽しい時間を過ごした仲間たちとの異業種交流から、

シューマンは「David Bündlerダヴィッド同盟」という

想像上の秘密結社を創り出す。

この結社に所属する架空の登場人物として、

FlorestanフロレスタンとEusebiusオイゼビウスという、

一方は情熱的で外交的、

そしてもう一方は内気な性格の二人を登場させ、

そのペンネ―ムを使いながら、

シューマンは「音楽新報」の中で

新しい音楽評論の形を目指したのである。

横浜の自宅から

村中大祐

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