聴こえない音③「飛べないピーターパン」

From:村中大祐

ピーターパンの映画で
ロビン・ウィリアムスがピーターを演じた
「フック」という映画があったのを
あなたは覚えているだろうか。

結婚して家庭のあるピーターは
もう飛べなくなっているところに
妖精がやって来て
ピーターの「常識」をぶち破る旅が始まる。

飛べないピーターが
飛べるようになった時
観る者に大きな気づきがあるような映画。

監督のスティーブン・スピルバーグの
メッセージとはなにか?

あなたは大人になって
飛んでいるだろうか?
リスクを冒して、
勇気をもって
自分を表現しているか?

毎日の生活に忙殺されると
子供のときの純真な思いや
冒険の日々のなかで勝ち得た
特別な夢の実現が
どんどんと遠のいていく。

「しょうがない」という言葉。
これはフランス語でもドイツ語でも
イタリア語でも存在するということは
世界共通の表現なのか。

きっとみな、同じ思いで生きているのだろう。

飛べない自分を
飛べる自分にしたいと思うなら

本当の自分を表現したいなら

見えないものが見えるように
聴こえないものが聴こえるように
生きればいい。

年をとると
ある一定の周波数の高さの音が
聴こえなくなるそうだ。

若いうちはそれが聴こえているのに
聴こえなくなった事実に
気が付かない。
それが年を経ること、らしい。

だが年を経て経験を得ると
若かった時に聴こえなかった音が
実は聴こえるようになる。

昔読んだ漱石の一文が
経験を経て
違った趣を醸し出してくるのに同じ。

漱石の書いた内容をみながら
そこに自分の世界を投影することも
経験を経るとできるようになってくるものだ。

年をとると
物理的に聴こえなくなる。
記憶力が低下する。
視力が衰えてくる。

それが経験を経て豊かさに変わるのを
教えてくれたのは
実は、音楽だった。

年をとって来日した有名なピアニストは
若い完璧なテクニックの演奏家よりも
若い頃の自分の録音よりも
より深い感銘を残して帰って行く。

彼らは常に完全ではないのだが
微妙な揺れやミスタッチのなかに
独自の味わいを聴かせてくれる。

それは誰にでも理解できる豊かさ。

よくあるような
100歳にちかい人間が
舞台で演奏することに
ただ驚いたわけではない。

100歳にちかい人間の
人生を味わい尽くしたその「豊かさ」に
皆が感動したのだ。

若い人間が到達しえない境地。
そこを勘違いしてはいけない。

ともすると「100歳だからスゴイ」と言って
数字や現象・カタチばかりにとらわれるのが
私たち日本人の傾向だ。

年をとった演奏家や
若くても何かを表現しようとする人間は
リスクを冒してでも
「自分独自の表現」にまで昇華させようとする。

これこそがピーターパンが飛べるかどうか?
の瀬戸際なわけだ。

勇気がなければ飛べないが
勇気を振り絞ってリスクを冒すというわけだ。

そうなればミスも出てくる。

見る側、聴く側には
そのミスに惑わされずに
表現の本質を味わい尽くすことが求められる。

この「違い」を分かるあなたは
きっと「豊かな」ひと。

豊かさとは
ミスタッチの裏側にある。

ミスタッチとは
飛ぼうとする人間に与えられた
勲章のようなもの。

今日も素敵な一日を!
横浜の自宅から
村中大祐

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