響きの妙

僕が20年前

ウイーンの楽友協会大ホールで聴いた最初の音は

ブルックナーの交響曲第4番。

弦楽器が密やかに奏でるトレモロに続いて

黄金の響きを持ったホルンのソロが

誰もいないホールに響き渡った。

立ち見席に忍び込んで

Claudio Abbado と

Die Wiener Philharmonikerの

初日の練習に立ち会ったときの出来事だ。

しばらくして

ウイーン国立歌劇場の9月1日の公演

ヴェルデイの歌劇「ドン・カルロ」で

同じオーケストラがやはり

アッバードの指揮で素晴らしい音楽を奏でていた。

僕の音の響きの基礎を作ったのは

基本的にピアノを通じてだったけれど

このときのブルックナーとヴェルデイが解き放つ

オーケストラの響きのミステリーに

戦慄したのを思い出す。

両者ともかのワーグナーから

絶大なる影響を受けた作曲家でありながら

その影響を自然に自分の世界に採り入れることができたブルックナーと

その影響が自己のトラウマにならんとしたヴェルデイでは

随分と違うはず。

それなのに

どういうわけか

この両者の響きに共通するものを感じるのは

僕だけだろうか。

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