どうも。村中です。
私がイタリアで得たものがあるとすれば
それは彼らの中で極めて重要とされている
「言語化の能力」かもしれない。
他のヨーロッパ言語では、なかなかに難しい問題を、
イタリア語では、
いともカンタンに身体的に理解させてくれる。
その点、英語はかなりニュートラルな言語。
だからビジネス向きではあるものの、
こういった、イタリア語的な
身体に訴えてくるような
ヴィヴィッドな感覚はない。
面白いのは音楽を語るとき、
この話が顕著に現れてくること。
ドイツ語でsehr gemessen
「測ったように」と言う
いかにもドイツらしいクソ真面目な言葉があるが、
実はこれも立派な音楽用語。
厳格な雰囲気があるので
オーケストラにコレを一言言うと、
一発で理解される。
つまり真面目そうに弾くことも
場合によっては重要な音楽の表現になるわけ。
例えばこれを英語でvery calculated と言えば
同じ意味でも、なんだか語感がドイツ語とは全然違う。
英語だとイメージが湧かないものが
ドイツ語だと重々しく感じてもらえる。
これをイタリア語にするなら、
molto calcolato より、
schietto schietto とスキエットを二回、
繰り返す方が私は良いと感じる。
オーケストラから
笑みがこぼれるからだ。
これをドイツ語で
sehr gemessenと言うなら、
雰囲気はガラリと変わって
ちょっとしかめっ面になる。
これはモーツァルトのオペラから
ある意味私がパクって来た。
モーツァルトのイタリア語で学んだ
正に使える伝達方法だ。
ヨーロピアンは、みんな大抵
「フィガロ」くらいは知っているから、
スキエットと言えば、
みんながあのモーツァルトの素敵な世界と
一瞬でアクセスも出来るというワケ。
こういったメソッドは、
現場でしか会得し得ないし、
その一言だけで
100人からの場が色まで変わるのを、
出来れば貴方にも感じて欲しい。
これもまた、豊かさの一つのカタチ。
ボーダーレス。自由の感覚。
違うかな。
村中大祐
追伸
今それこそドビュッシー三昧を
シチリアの海のそばでやってる。
今日からコーラスとソリストの音楽稽古。
昨日コーラスマスターに
「東京で何してんの?」と聞かれて、
「ああ、何もしないで寝てる」と言ったら
爆笑してた。(^^)
P.S.これは実は2月にメルマガで読者にお送りしたもの。
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