聴こえない音①「闇のなかへ」

From:村中大祐

闇という文字。
門の奥に音が見える。

これを聞いて思ったこと。
ああ、知ってる。
どこかで出会ったことのある感覚。

面白い言葉が降りて来た。
「聴こえない音」
そう、この世には聴こえない音があるのだ。

地球は自転している。
その自転の音が聴こえる人がいる。
それも聴こえない音。

闇のなかであなたは何かを見ようとするだろう。
でも諦めた時、耳にその身をゆだねようとするのではないか。

闇のしじまに耳を澄ます。
夜中の街に音はなく
そこには不思議な、本来なら聴こえないはずの音が聴こえてくる。
その音に周波数を合わせてみよう。
ラジオのように。
すると何か違う感覚に浸ることができるはずだ。

私はそれが音楽に耳を澄ましたとき
聴こえてくる、あるいは見えてくる世界と近いように思う。

マーラーは自然を愛した。
もちろんブラームスもベートーヴェンも
自然を愛した作曲家だ。

だがマーラーの音楽は
物理的に時を止めることができる、と思っている。
それは彼が時代の寵児だったからではないのか。
彼の時代、西洋に東洋が色濃く入り込んだ。
アラブや中国、そして日本の文化。
これが西洋音楽の歴史を塗り替えたように感じる。
マーラーの音楽はこの最たるものである。

音楽を聴くと、確かに時は止まる。
でも音楽の中では止まらない。
音楽はPerpetum mobile
「常に動いている」というのが
マーラー以前の音楽の姿だった。

だがマーラーの音には
動きよりも静けさに寄り添い佇み
沈殿していく静止の姿が見える。

闇のなかの聴こえない音が
マーラーの「夜の音」から聴こえてくる。

今日も素敵な時間を。
横浜の自宅から
村中大祐

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