指揮者の交渉術①

From:村中大祐

先週購入頂いた方には
ニュースレターをお送りしたのですが
そこにカラヤンの交渉術を詳細に書いたのですね。

それが非常に面白くて
自分もその交渉術に沿って仕事をしてみると
なかなか良い成果がでてきたり。

そんなことから
今朝ふと交渉術について
書き始めたのがこれ。

イタリアとの交渉は結構骨が折れるんですが
無事に曲目やリハーサルの日程などなど、
交渉がスムーズに進みました。
これもカラヤンのお蔭か?

素敵な一日を!
続きはこちら↓から!

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From:村中大祐

私は交渉というものを
人から学んだことはない。

それが良いか悪いかではなく
もう、自分に言い訳する暇もなく
兎に角やるっきゃない、の世界だった。

物心ついたころには(というか23で)
外国に居たため、
人とのやり取りは全て外国語で
こなさなければならなかった。

考えてみると人は色々なところで
交渉しなければならないようで
私の場合、最初の交渉は10代に遡る。

高校1年か2年の夏休み、
6年制の男子校だったことから
価値観が受験にばかり偏っていたのに
辟易していた私は
少し違う世界を観たくなった。

当時は駅の周辺に本屋があると
そこで「アルバイトニュース」のような
雑誌が出ていたので、それを買って
家で調べてみると
高校生のできるアルバイトは限られていた。

短期と言う条件があるので
マクドナルドなどのバイトはできない。
よく見たら2つだけ可能性があった。

ひとつは小田原駅構内の弁当売り。
そしてもう一つはダスキンの営業。

私は迷わず後者を選んだ。

結果は短期の営業の成果としては
相当なものだったようで
高校を卒業したらダスキンに来るよう
スカウトされたが、
さすがにそれは丁重にお断りした。

私たち高校生は知らない集落の付近に
マイクロバスで降ろされた後
知らない家をひたすら回りながら
自力でインターホンを押し
断られながらも出てきてくれた人とは
一生けん命会話するわけだ。

そこで玄関からのそっと出てくる
見知らぬ人達と話すことで
人と対峙する能力を磨いたのか?

いや、そんなことはないと思う。
ダスキンという大きな後ろ盾があって
商品もセールストークも
すべてダスキン仕立て。

そこで能力もくそもない。
ただひたすら、一心に誠実に
トークをするだけで
飛ぶように売れた。
それはダスキンがスゴイわけで。

ヨーロッパに23で出た時
最初に交渉するのは
まず現地の警察だ。

もちろんダスキンのような
後ろ盾はなく
誰にも頼れないので
自分で予定時刻の8時15分に
現地の警察に滞在許可をもらいに行く。

留学するためには
ヴィザが必要で
ヴィザが入手できると
今度は現地で滞在許可を申請する。
それはどこの国でも同じはず。

だが8時15分に行っても
外国人が多くて正午までに
自分の時間が回ってこないと
また翌日、なんてこともある。

実際に自分の番が回って来ると
今度は資料が不足していたりする。

私の場合、出生証明をドイツ語に訳して
それを持って行ったのは良いが
出生地が兵庫県で、パスポートの本籍が京都だと
同一人物だとして認めてもらえなかった。

そこで交渉した。

「出生証明書Geburtsurkundeゲブルツウアクンデと
パスポートのどちらがあなたにとって重要か?」

「パスポートに決まってる」

「じゃあパスポートに書いてあることを
自分のオフィシャルな情報にする」

「それなら受け入れられる」

そこで私はゲブルツウアクンデを
彼女(検査官)が見ている前で破り捨て
「私は今から京都生まれの男だ」
とやったわけ。

それで話が通ったという、まあこれつまり
交渉術かもしれない。

それはダスキンで鍛えたわけでもなく。
咄嗟の判断。

生きているとそう言う局面にも出会うことになる。

ああ、大変だった。
でも良い思い出。良き勉強。良き時代。

今日も素敵な一日を!
横浜の自宅から
村中大祐

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