こんにちは。村中です。
今フランス語と格闘してます。
この2月10日と11日、
イタリアでドビュッシーの公演を指揮するので
交響詩「海」、「夜想曲」全曲、
そしてかねてから念願だった「選ばれた乙女」
これをやるんです。
ソプラノは昔から名前は知っているけれど
確かクラウディオ・アッバードが
よく使っていたはずのソプラノ歌手。
ヴァレーリア・エスポージトさん。
ヴェルディの「ファルスタッフ」で
何度かナンネッタ役を聴いたことがあるような。
そうそう、「ファルスタッフ」に出てくる
ナンネッタのセリフに
以下のようなものがあります。
“Bocca baciata non perde ventura, anzi rinnova come fa la luna”
ヴェルディ最晩年のオペラで
私が一番好きなオペラのひとつ。
本当に爆笑のオペラですが
中でも一番印象に残る美しい旋律の歌詞が
これなんですね。
(私↓歌ってます。今朝4時の満月の写真です。)
実はあのボカッチォ(Boccaccio)が
「デカメロン」で使った言葉で慣用句。
昔歴史の教科書に出てましたよね。
デカイメロンってバカにしてましたが。(笑)
このボッカ・バチャータ(Bocca baciata)
つまりイタリア語の「接吻」。
恋人たちの接吻ですね。
「接吻とはまるで
お月さまが新月と満月を移り行くように
ワクワクするもの。」
というような意味。
「キスって飽きない。楽しいしワクワクする!」
ってな意味ですね。
(時間がないので、意訳ですからね。)
この接吻。私が住んで居たウィーンの作家で
あなたもよくご存知かもしれない
グスタフ・クリムトの「Kuss」っていう
有名な絵があります。
でも今回は彼ではなく、
このボッカ・バチャータの絵をかいて
一世を風靡したのがDante Gabriel Rossettiです。
ダンテ・ガブリエル・ロセッティの「接吻」はこちら↓。
こういう話結構楽しいんですけど
メルマガに書くのはちょっとしんどい。
来週演奏するドビュッシーの「選ばれた乙女」。
まあ、ドビュッシーの没後100周年記念公演で
めでたく選ばれたこの作品。
名作中の名作ですが
ほとんど演奏されませんね。
この作品もRosettiが関わっている。
アメリカ人ですから
原詩は英語です。
The Blessed Damozel
祝福された乙女ですな。(こちら↓)
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Blessed_Damozel
絵描きで詩人のロセッティに影響された
ドビュッシー。
実はこの「選ばれた乙女」の絵のコピーを
ドビュッシー自身が所有していたとはね。
ローマにあるボルゲーゼ宮殿に
3年間住む権利を与えられるのが
パリ音楽院の「ローマ賞」ってやつで
それをドビュッシーは何とか獲得して
3年目に課題の「ソリスト・合唱付き交響楽」を
作曲したということ。
だからイタリアの大きな劇場で
この作品を演奏するのは
今回本当に意味があるみたい。
他の作品、例えば「夜想曲」は
このロセッティと繋がりがある
James Whistler(ジェイムズ・ウィスラー)という
絵描きの作品が
ドビュッシーの感性によって
音になったの。(こちら↓)
https://en.wikipedia.org/wiki/Nocturne_(painting)
そして交響詩「海」は
あの北斎だね。
(どこかで広重、東海道五十三次とか書いたかもしれん。許せ。
北斎は富嶽三十六景だわ↓)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E5%A5%88%E5%B7%9D%E6%B2%96%E6%B5%AA%E8%A3%8F
これらのPaintingsが
ドビュッシーの手にかかると
どのような展開になるのか。
これは聴いてのお楽しみ。
耳で観る。
最高の贅沢。
村中大祐
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